モービルダイ(NC彫刻刃型)とは
モービルダイ(NC彫刻刃型)ってなんだろう?
以前のスタッフブログで紹介したトムソン型(ビク型)、ピナクルダイと同じく”製品を量産するため”の抜き型ですが、より”微細な形状を高精度に加工するため”に使われる抜き型です。
ベークライトのベースにステンレス板を貼り付けた材料を、NC切削加工機で削って作る刃型です。
こちらの刃型、弊社が独自開発した抜型になります。
寸法精度が求められる加工にはピナクルダイが適していますが、もっと細かい形状や高低差のある複雑な製品向けにどんな設計にも対応できる刃型が出来ないか、という思いのもとに開発されました。材料となるステンレス板もHRC52度前後のものを使用していますので、耐久性も高いです。
基本はベークライトにステンレス板を貼り付けて、全高23.6h、刃高0.1~2.5mm、刃角は40度が標準ですが、全高も刃高も鋭角も鈍角もコンビネーションも自由自在です。
自由度の高い刃型だからこそ、小径穴のカス上げや、厚い材料を加工する際の切断抵抗の低さ(切れの良さ)などの特徴があります。トムソン型(ビク型)への組み込みもかんたんにできます。
材質 | ステンレス(硬度HRC52~53) |
刃間距離 | 0.3mm~ |
全高 | 23.6mm(変更可能です) |
刃高 | 0.1~2.5mm |
刃角 | 30度~70度(変則刃角も可能です。例:内側15度・外側20度など) |
最小カドR | R0.1(ピン角も可能です) |
最大加工寸法 | 295mm×140mm(ベースサイズ300mm×145mmまで) |
寸法精度 | ±0.02~ |
どのくらい微細な形状を作れるの?
加工可能な形状は、刃間距離0.3mm。これは実際に作ったことのある実績値で、0.1~0.2mm程度のフィルムやテープの抜き加工ができます。
ただし現在は微細加工用に様々なサイズの工具が発売されているので、可能性としてはもっと刃間距離が狭い抜き型が製造できると思っています。
精度はどのくらい?
ピナクルダイと同等の、寸法公差±0.02です。
1mmの2/100。100mm×100mmのモービルダイを作って測定すると、99.98mm~100.02mmの間で刃型が作られるということです。だいたいアルミ箔の厚みと同じくらいです。
製品の寸法公差±0.05程度でしたら、十分に対応できると思います。
形や大きさに制限はあるの?
製作できる最大サイズは295mm×140mm。刃と刃の最小の隙間は0.3mm、標準タイプの全高は23.6mm、刃高は2.5mmまでのモービルダイが作れます。
ただし自由度が高い刃型なので、材料変更をすることによって、最大加工サイズは変わりませんが、全高の変更やもっと高い刃高も製作できます。
材料と加工方法の工夫で、抜き加工時の障害となる抜きカスの排出方法も様々な選択ができます。
まとめると
- トムソン型(ビク型)・ピナクルダイと同じように、同じ形を早く、たくさん作るための道具
- 機械加工で製造され、高精度(寸法公差±0.02)で最小刃間距離0.3mmなどの微細形状も製作可能
- 自由度が高い刃型で、難しい加工にも対応可能
導入秘話
導入時、3DCADもマシニングセンタも名前しか知らないというレベルでした。
金属加工の経験がある後輩と二人でのスタート当初はウン千万もする機械だけ設置されて、どうすんのコレ?!と途方にくれました。
機械メーカーやソフトベンダーのトレーニングで初めて触れるところからスタートでしたが、たくさんの方々の助言・ご協力を頂いて、材料と工具の選定から、数十回のトライ・アンド・エラーを経て、何とかモノになりました。
加工の自由度が高いがゆえに、ここでは紹介できない特殊な刃型も多々製作しています。プレス金型で抜けづらい素材にも対応できるかと思いますので、困った場合にはぜひご相談下さい。
編集後記
ちょっと長めの充電期間を経て、久しぶりにブログを更新しました(笑)。少しのんびり更新していきます!
趣味でランニングをしていますが、練習終わりになわとびはじめました。
一重飛びを200回のあとに、二重跳び合計100回がノルマです。久しぶりのなわとびはツラい、二重跳びはとてもツラい(笑)
2021年6月25日現在の、私の二重跳び連続最高記録は54回です!
投稿者プロフィール
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千住抜型製作所のWeb担・中の人です。
他にも抜型の設計、トムソン型製造、3DCAD/CAMオペレーター、営業などなど、様々な業務を兼任しています!どんな些細ことも、いつでもご相談ください!
[記事の著作権は執筆担当者名に帰属します]
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