【トムソン型】丸刃のいろいろ【ビク型】

くりぬき丸刃

トムソン型(ビク型)で丸穴の加工をする際は、おおよそ直径30ミリ以上のサイズは帯状のトムソン刃を曲げ加工して製作しますが、もっと小さなサイズには旋盤加工した丸刃を使って型製作しています。
なぜ旋盤加工した丸刃を使用するかというと、そもそも小さいサイズは上手に曲げ加工できなかったり、抜き加工する材料の厚みや硬さによっては、抜きカスの排出方法を工夫しないと丸刃が割れてしまうといった不具合が起こる恐れがあります。
また、寸法精度を求められていたり、0.1mm単位での寸法設計がなされている場合にも、精度の良い旋盤加工された丸刃が使われます。曲げ丸刃のようにつなぎ目がないという特徴もあります。

今回のスタッフブログでは、様々な種類の丸刃を紹介してみようと思います。

丸刃の種類は?

トムソン型(ビク型)製作時に最も使われる丸刃の種類は5種類です。

  • 曲げ丸刃(トムソン刃を曲げて作ります)
  • くりぬき丸刃
  • スプリング丸刃
  • 鉄砲丸刃
  • サイドポンチ

上記のうち曲げ丸刃はトムソン刃を曲げ加工して作りますが、その他のものは全て旋盤などの機械加工で作られています。

寸法精度は?

トムソン刃を加工して作る曲げ丸刃は±0.1~0.15くらい、サイズは直径30mmくらいから。もう少し小さいものも作れますが、旋盤加工された丸刃のサイズがあるなら、そちらを使用します。
帯状のトムソン刃を曲げ加工しますので、ぱっと見はきれいな丸ですが、多少の歪みはあります。

旋盤加工して作られる丸刃は寸法精度±0.05程度です、かなり高精度で歪みはほとんどありません。

種類の使い分けは?

抜き加工する材料や使用するプレス機の種類、抜きカス処理の仕方で変わります。おおよその特徴と在庫サイズなどは下記をご参考に。

曲げ丸刃

帯状のトムソン刃を曲げて作ります

帯状のトムソン刃を曲げ加工して製作し、安価に仕上がります。
刃のつなぎ目がありますが、製品にはほとんど影響ありません、ハーフカットのムラ取りがしやすいというメリットがあります。

くりぬき丸刃

くりぬき丸刃
パイプ形状のくりぬき丸刃

トムソン型(ビク型)で最も使われているのが、くりぬき丸刃です。
サイズはφ1.0~φ19.9までは0.1mm単位、φ20.0~φ30.0までは0.5mm単位で在庫しています。

パイプ形状の安価で使い勝手の良い丸刃です。通常は両刃を使いますが、厚い材料の穴あけ用に片刃もあります。

スプリング丸刃

スプリング丸刃
真鍮のパーツで抜きカスを排出します

くりぬき丸刃のなかに抜きカス排出用の真鍮パーツとそれを押し出すスプリングを組み込んでいます。
サイズはφ1.0~φ15.0までは0.5mm単位、φ2.1~φ9.9は0.1mm単位で在庫しています。

はねだしスポンジを入れなくても抜きカスを排出します。スポンジの入れづらい小径サイズの丸刃を使う時は、くりぬき丸刃より高くなりますが、スプリング丸刃をおすすめしています。

鉄砲丸刃

小径の破損防止、抜きカス処理に最適です
刃先より胴体の内径が大きくなっています

名前にある通り鉄砲の銃弾のように、胴体部分が太くなっている丸刃です。
サイズはφ1.0~φ30.0までは0.5mm単位、φ0.8~9.9までは0.1mm単位で在庫しています。

刃先から胴体部分は貫通していて刃先径より大きくなっていますので、抜きカスを胴体部分に貯められます。樹脂やゴムの硬い材料を抜き加工する際に、刃先の破損(パンク)が起きづらい丸刃です。

サイドポンチ

サイドポンチ
刃高が高いタイプや回転防止の加工もできます

抜きカスの排出のために胴体の部分に穴が空いています。
サイズはφ1.0~φ12.0までは0.5mm単位、φ1.1~φ5.9までは0.1mm単位で在庫しています。

全体の形状は鉄砲丸刃とにていますが、胴体部分に抜きカス排出用の穴があいています。ベースになるベニヤ板に抜きカスが貯まるような加工などをします。丸刃の中に抜きカスの詰まりがありませんので、連続して抜き加工する際の抜きカス処理や、硬くて厚い樹脂やゴムなど刃先の破損(パンク)対策におすすめしています。

くりぬき丸刃をトムソン型に組み込むと

箱のトムソン型(ビク型)になります。こちらのでは曲げ丸刃とくりぬき丸刃を使用しています。一番大きいサイズが曲げ丸刃、その他はくりぬき丸刃です。

その他にも用途に合わせて、いろいろな丸刃があります

粘着剤対策のコーティング加工、紙粉対策の鏡面加工、二重丸や小さいサイズの長円なども製作承りますので、どんな材料でも、どんな設計でも解決可能です。カス処理の問題や、上手く抜けないなどのご相談がございましたら、ご連絡ください。

編集後記

最近補強のために、ジョギングのあとに縄跳びをしています。
最初に一重飛びを200回跳んだあと、二重跳びを100回をノルマとしています。二重跳びは連続何回できるかチャレンジ、昨日までの最高記録は連続50回です。終わったあとはぜーぜーいうくらいに息があがります。目標は連続100回ですが、なかなか手強い!

投稿者プロフィール

タカハシ
タカハシWeb Master
千住抜型製作所のWeb担・中の人です。
他にも抜型の設計、トムソン型製造、3DCAD/CAMオペレーター、営業などなど、様々な業務を兼任しています!どんな些細ことも、いつでもご相談ください!
[記事の著作権は執筆担当者名に帰属します]
創業昭和33年の実績

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当社は1974年に日本で初めてレーザー光線を産業用に取り入れ、抜型業界の発展に尽力してきました。
数十万におよぶ抜型の製作実績で培われた技術で、抜き加工の様々な課題に対応しています。

抜きのワンストップサービス

抜型製造から抜き加工まで、社内設備で対応いたします。
試作品や量産品製造はもちろん、検定品測定後の型修正など、一貫生産体制を整えています。材料調達もお任せ下さい。

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