【抜型屋の道具】手動曲げ機
抜型を製作するためには、以前のスタッフブログで紹介したレーザー加工機をはじめ様々な工作機械や道具が必要です。勝手にシリーズ化して紹介したいと思います。
手動曲げ機とは
トムソン型を製作するために必須のレーザー加工機や自動曲げ機などの工作機は、新製品が発売されるとともに改良され、操作が簡単になったり、加工スピードや精度が向上して生産性が上がることがほとんどです。メーカーの努力やユーザーのフィードバックによって5年もたつと驚くほど進化していますが、加工機によっては分譲マンションが変えるほどの価格だったりしますので簡単には買い換えられないことがほとんどです。
工作機の他にも様々な道具を使用して作られるトムソン型(ビク型)ですが、その中でも工作機以上に必需品の道具があります。それは手動曲げ機です。恐らくもう何十年もカタチを変えていない完成形の道具だと思います。
トムソン型の刃物は帯状の刃を曲げ加工します。自動曲げ機という工作機が開発されて生産性が大きく向上していますが、自動で完璧に曲げてくれる加工機は存在しません。こう言うとディスってるように聞こえてしまいますが、これには刃材の規格内でのバラツキや加工機のパーツの磨耗などに左右されますので致し方ないこと。その自動曲げ機で加工された刃物は職人の手によって調整されますが、それに使われるのが手動曲げ機です。
抜き型メーカーさんによって呼び方に違いがあるそうですが、弊社ではこちらを正曲げ、
こちらを逆曲げと呼んでいます。
基本は正曲げと逆曲げをセットで使います。使い方は好みですが、。自動曲げ機で加工しただけだと少しだけあまいところを、手動曲げ機でコンコンと突いて、レーザカットした刃を埋め込むミゾに合わせます。
例えば、サック箱と呼ばれる紙器製品向けの抜き型を製作する際に、下の画像のようなフタの差し込み部分を例にして説明しますと、
まず自動曲げ機で帯状の刃物を下の画像のように曲げ加工して、
レーザーカットしたベニヤのミゾ部分に合わせてみると、
微妙にズレてますね、はい。
そのズレを手動曲げ機でコンコンと突いて、
曲げすぎた場合は逆曲げで戻したりして、
ベニヤのミゾと刃物の曲げを合わせます。
こちらは本体を組み立てる際に糊しろ部分になりますが、このズレも、
正曲げでコンコンと突いたり、
逆曲げで調整して、
曲げを合わせます。
最初は時間ばかりかかってなかなか合わせられませんでしたが、何度も何度もコンコンしているうちに仕事が早くなります!
自動曲げ機で加工するのが生産性は高いのですが、微妙な調整はもちろん、小さかったり複雑な形状などは自動曲げ機で作れない場合があって、手動曲げ機が大活躍の抜型もあります。その際、入社1年目と入社20年目では習得している技術と、経験から生まれたコツとノウハウに大きな差があって、何時間かけても上手く合わせられない場合もあるんですよ!
なんだかんだ言っても職人の世界ですね。弊社では日々技術の向上に努めています!
投稿者プロフィール
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千住抜型製作所のWeb担・中の人です。
他にも抜型の設計、トムソン型製造、3DCAD/CAMオペレーター、営業などなど、様々な業務を兼任しています!どんな些細ことも、いつでもご相談ください!
[記事の著作権は執筆担当者名に帰属します]
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創業昭和33年の実績
当社は1974年に日本で初めてレーザー光線を産業用に取り入れ、抜型業界の発展に尽力してきました。
数十万におよぶ抜型の製作実績で培われた技術で、抜き加工の様々な課題に対応しています。
抜きのワンストップサービス
抜型製造から抜き加工まで、社内設備で対応いたします。
試作品や量産品製造はもちろん、検定品測定後の型修正など、一貫生産体制を整えています。材料調達もお任せ下さい。